尾 瀬  2006 夏


                          


    8月15日 鳩待峠 (13:50) から山の鼻 (14:50) を通り見晴らし十字路 (16:30) へ
    まずブナ林が迎えてくれる。いつみてもこころ安らぐ。なだらかな至仏山がくっきりとみえた。
    山の鼻付近では熊がしばしば出没とか。原では,コオニユリ,ヒツジグサ,コバギボウシの花が見
    られる。池塘ではイモリが人間に気づいてゆらゆらと睡蓮の下に隠れた。そうだ,ここは地上を荒
    らしている人間の反省の場でもあるのだ。
    遠く燧ヶ岳を望みながら見晴らしへ向かう,大自然の雄大さ,人間の小ささと一抹の寂しさ,
     Bruckner の交響曲8番の3楽章と4楽章が胸にこだまする。


   8月16日 見晴らし十字路 (6:45) から燧ヶ岳へ,柴安ー 2360m (9:15),俎ー 2346m を経てナデックボを
   降りる。沼尻 (12:45) から沼の長蔵小屋 (15:15) へ。
   見晴らし十字路の朝景色も感動的だ。朝霧の低く立ちこめる中遠く,至仏山が望まれ,小鳥たちの
   静かな合唱が聞こえる。
   樹海の深い見晴らし新道を登る,ときどき木々の間から原が見られる。頂上付近では早くもリンドウ
   の花が咲こうとしていた。可憐な花と対照的にこんな自然条件の厳しいところに生えているたくましさを思う。
   頂上では南側に少し雲があったが360度の大パノラマを満喫。下山はずしりと重いバックパックを背負い岩の
   大きな段差を降りるのでかなり膝に負担がかかった。沼尻で休憩。大江湿原の小川では岩魚が人影にも
   驚かずのんびりと泳いでいた。ノリウツギの白い花とヤナギランのピンクの花が盛りだ。
   長蔵小屋に入るまえに平野家のお墓参り。長蔵とその子孫を中心の環境保護運動がなかったら今の尾瀬
   はない。沼と小屋の方向を向いてお墓が並んでいる。


   8月17日 沼の長蔵小屋 (7:15) から大江湿原から小淵沢田代往復 (9:00) し沼山峠 (9:30) へ
   いつものことながら,沼の長蔵小屋の朝は感動的だ。朝靄の中,鶯の鳴き声,岩ツバメが飛び,魚のはねる
   水音,遠く燧ヶ岳が朝日に輝く。しばしこころを大自然の中に遊ばす。小淵沢田代は霧雨でかすんでいた。
   峠で尾瀬とお別れ,去りがたい気持ちに。