注:これは大学院時代のページです。

 
 Takeshi  Takahashi

高橋 剛  E-mail:takahashi@melody.gs.niigata-u.ac.jp

研究紹介

射影空間内の代数的超曲面とその点射影を考え、その点射影から得られる関数体の拡大がガロア拡大のときに点射影の中心点をガロア点と呼びます。ガロア点を定義したとき次の疑問は自然なものであり、私はぜひとも解決したいと思ってきました。(イ) ガロア点を持つ超曲面はどのようなものか? またガロア点とは幾何的にどのような点か? (ロ) 一つの超曲面上にはガロア点は最大で何個存在するのか? (ハ) 点射影から得られる関数体の拡大のガロア閉抱の幾何モデルはどのようなものか? (ニ) 点射影から得られる関数体の拡大のガロア閉抱のガロア群は何か? また中間体はどのようなものがあるのか?

私は、このように代数幾何学に体の拡大の概念を持ち込む、このガロア点というものをキーワードにして、主に次の事柄について研究してきました。


(論文[1]) 非特異4次曲面のガロア点の性質は新潟大学の吉原先生によって明らかにされました。特にそれらの中で最多のガロア点を持つものは、$X Y^3 + Z W^3 + X^4 + Z^4 = 0$ によって定義される曲面であることが示されました。そこで私はこの曲面の性質について研究して、ガロア点に付随する自己同型群と射影変換に拡張される自己同型より全体よりなる群を決定しました。さらに、この曲面には非特異4次曲面で最多の64本の直線が含まれていることを示しました。


(論文[2])非特異4次曲面からの点射影によって定まる関数体の拡大のガロワ閉包をとり、その曲面モデルを考察しました。そしてガロワ閉包の曲面モデルは、点射影の中心点がガロア点でないときに、すべて一般型の代数曲面になるという結果を得ました。またその曲面の不正則数と幾何種数を決定しました。ガロワ閉包の部分体で4に含まれないものが一つありますが、その曲面モデルに対してもした。そしてその曲面も一般型の曲面であるということを示しました。


(論文[3]) 正規4次曲面のガロア点について研究し、正規4次曲面の点がガロア点になるための必要十分条件を求め、たくさんのガロア点を持つ曲面の定義方程式を求めました。特に、正規4次曲面で無限個のガロア点を持つものは4次曲線上の錐面であることを証明しました。また、正規4次曲面のガロア点の個数とその曲面の特異点の関係も明らかにしました。これは吉原久夫教授の非特異4次曲面上のガロワ点の研究の拡張になっています。


(論文[4]) 特異点を持つ平面曲線のガロア点の研究はほとんどされていませんでした。非特異曲線のガロア点はどのような点であるか明らかになっていますが、特異点を持つ曲線に対してはどのような点であるか詳しくわかっていませんでした。そこで、私はこの問題に関してもっと基本的なものである、特異点を一つだけ持つ5次曲線のその特異点がいつガロア点になるのかということを研究し、それを明らかにしました。


現在は代数曲線のガロア・ワイエルシュトラス点というものに興味を持っています。


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2002年9月18日(水)に埼玉大学で発表させていただきました。 タイトルは『正規5次曲面のガロア点』です。
発表のアブストラクトです。 saitama.pdf



論文

[1] (with Mitsunori Kanazawa and Hisao Yoshihara) The group generated by automorphisms belonging to Galois points of the quartic surface, Nihonkai Mathematical Journal, (2001) 12, No.1, 89-99.

[2] Minimal splitting surface determined by a projection of a smooth quartic surface, Algebra Colloquium, (2002), 9, No.1, 107-115.

[3] Galois points on normal quartic surfaces, Osaka Jounal of Mathematics, (2002), 39, 647-663.  

[4] Non-smooth Galois point on a quintic curve with one singular point, preprint.



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