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吉原 久夫 E-mail: yosihara*@*math.sc.niigata-u.ac.jp (** を除いて下さい)
研究紹介
最近の研究について紹介します。テーマは大きく分けて2つあります。
(1) 非有理次数(主に代数曲面)の研究
および,
(2) 射影多様体のガロワ埋め込み
射影多様体上の very ample divisor による埋め込みを考えたとき,その空間内での1次多様体中心の射影のきめる
関数体の体論と多様体の幾何学的性質の比較研究,とくにいつ射影がガロワ被覆になるかに関心をもっている。
(1) 非有理次数については小平次元が 0 の曲面のうち
特に超楕円曲面に関して 詳しく考察をした([2]).
アーベル曲面について長らく考察してきたが,ごく一部が決定できたのみである例えば
2つの楕円曲線の直積の非有理次数(3か4のどちらか)も決定できない ([1]).
(2) 関数体の体論の研究では4次曲線と4次曲面に対する研究をまず行い,
次に 一般の次数一般の次元での研究を行なっている.
超曲面上の点からの射影を 考え,それの決める体の拡大により,最小分解多様体や
ガロワ点などという体論からの言葉を定義して,体論と幾何学の融合を試みている ([3], [4], [5], [6]).
例えば4次曲面の上には,たかだか8個のガロワ点が存在し,そのような曲面はただ一つで
その構造まで完全に決定できる ([5]).
この方法論により体論と幾何学がより密接になると期待している.
非特異一般次数の曲線に関してはおおざっぱな成果はある ([7]).一般的な場合すなわち,
2次元4次以上の超曲面の場合についてもおおよその結果は得られている ([8]).
不思議なことはいつでも4次の場が例外的であることである。
もちろん 上記に関しては更なる詳しい考察が必要であるが,その前に余次元の大きい場合の
同様の問題も 早く結果を知りたい.一番簡単な場合は空間曲線に関して射影の中心を
直線としたときの考察である.特に Galois line の分布の研究 は魅力的である.
まったく一般の曲線では複雑すぎるので非特異 linearly normal な場合に考察した
結果は ([10]) に得られている.
4次曲線C上の点に,その点で P のガロワ閉包曲線 C_P を対応させ,P を動かすとC上のファミリーができる。これは一般ファイバーが種数10の一般型
代数曲面である。当然ガロワ点でのファイバーは特異ファイバーである。これも含めてすべてのファイバーを決定した
([9])。すべてのファイバーは semi-stable curve である,従って系として,点が少し動いたとき
C_P はお互いに同型でないこともわかる。すなわち P を少し動かしたとき最小分解体は互いに同型でない。
最近射影代数多様体を very ample divisor で埋め込んだとき,”いつ”ガロワ埋め込みになるかを研究した
([12])。ガロワ埋め込みになるための判定法も見つけた。応用として特に,アーベル曲面についてガロワ埋め込みを調べた,そのときのアーベル曲面の構造およびガロワ群の構造を決定した。(一つの論文のタイトルに大好きな2名の数学者の名前が入れられて,内容はともかく,とても満足です。)
以下は最近の論文リストである:
[1] Hisao Yoshihara, Existence of
curves of genus three on a product of two elliptic curves,
J. Math. Soc. Japan 49, 531--537 (1997)
[2] Hisao Yoshihara, Degree of irrationality
of hyperelliptic surfaces,
Algebra Colloquium 7, 319 -- 328 (2000).
[3] Kei Miura and Hisao Yoshihara,
Field theory for function fields of plane quartic curves,
Journal of Algebra 226 , 283 -- 294 (2000).
[4] Kei Miura and Hisao Yoshihara,
Field theory for function field of the quintic Fermat curve,
Communications in Algabra 28, 1979--1988 (2000).
[5] Hisao Yoshihara, Galois points
on quartic surfaces,
J. Math. Soc. Japan 53 , 731--743 (2001).
[6] Mitsunori Kanazawa, Takeshi
Takahashi and Hisao Yoshihara, The group generated by automorhisms belonging to Galois points of quartic
surface,
Nihonkai Mathematical Journal 12, 89--99 (2001).
[7] Hisao Yoshihara, Function field
theory of plane curves by dual curves,
Journal of Algebra 239, 340--355 (2001)
[8] Hisao Yoshihara, Galois points for smooth hypersurfaces,
Journal of Algebra 264 , 520--534 (2003).
[9] Hisao Yoshihara, Families of Galois closure curves for plane quartic curves,
J. Math. Kyoto Univ. 43, 651--659 (2003)
[10] Cristina Duyaguit and Hisao Yoshihara, Galois lines for normal elliptic space curves,
Algebra Colloquium 12, 205--212 (2005)
[11] Hisao Yoshihara, Galois lines for space curves,
Algebra Colloquium 13, 455--469 (2006)
pdf file
[12] Hisao Yoshihara, Galois embedding of algebraic variety and its application
to
abelian surface, Rend. Sem. Mat. Universita di Padova. 117, 69 -- 86 (2007)
pdf file
[13] Hisao Yoshihara, Galois points for plane rational curves, Far east J. Math. Sci. 25, 273--284
(2007)
[14] Hisao Yoshihara, Rational curve with Galois point and extendable Galois
automorphism ,
J. Algebra 321 (2009) 1463--1472.
[15] Hisao Yoshihara, Rational cuspidal curve with a Galois point, to appear in Math. Nachrichten
[16] Hisao Yoshihara, A note on minimal Galois embedding of abelian surface,
preprint
[17] The Galois group of Galois point for elliptic curve, preprint
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