数学の魅力:結び目

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数学の魅力:結び目

数学では、日常生活のごく身近なところにあるものが研究対象になります。結び目の研究もその一つです。1本の紐で結び目をつくり、その両端をつないでできる輪のことを結び目と考えます。図に5つの結び目があります。

[Knot]

真中の下にある結び目のない輪は「自明な結び目」です。これらの5つの結び目についてどのようなことがわかるでしょうか?一つの結び目を、紐を切ることなく(輪を保ったまま)空間の中で、もう一つの結び目に変形できるとき、それら二つの結び目は同じ結び目と考えます。例えば、あやとりでできるいろいろな結び目は、自明な結び目と同じです。 実は、真中の上にある結び目は、自明な結び目です。自明な結び目への変形にチャレンジしてください。左右にある4つの結び目が自明な結び目とは違うということは、簡単に想像できると思いますが、それを証明するのは簡単なことではありません。左(右)にある上下二つの結び目は、お互いに鏡像の関係にあります。しかし、左の上下の結び目は違う結び目ですが、右の上下の結び目は同じ結び目です。

結び目の研究は、位相幾何学という分野です。幾何学ですが、解析学も代数学も使います。いろんな方面の研究と関連するというのも数学の面白さの一つでしょう。

みなさんも大学で、身近なものを数学にしてみませんか?

注:真中上の図は、「コンピュータによる結び目理論入門」(落合豊行・山田修司・豊田英美子著)より抜粋。