ま え が き
・・・
さて,このテキストはいろいろな要望に応えられるような,次の特徴をもたせている:
形式的方面から:
(1) 半期15回程度の講義を想定して,各回の講義ごとに節をくぎった。
ただし,自習に役立つように講義で扱うよりやや多目の内容がある。
(2)
正しく理解しており,計算できるかどうかをチェックするため,随所に演習を設けている。また各節の終わりには節の問題,さらにその章の終わりには章末問題を設けている。学期の終わりには全体としての力を試すように,総合問題を設けている。また問題には略解を付けてある。
(3) まちがいやすい箇所にはキケン
!の箇所を設けて注意を喚起している。
(4) 自然科学系学生が主な対象であるが,経済学部等の文科系学生でも使えるように配慮した。
(5) 各節の終わりには理解を確かめるために,2 題の練習問題をおいている。また,各章の終わりには章末の問題がある。90
分程度のテストのつもりで取り組んでみるとよい。
内容的方面から:
(1) 数学 I, II および 数学 A, B
を学んでいることを前提にして書かれている。また,最初の章に高校の教程とオーバーラップさせて接続をなめらかにしている。
(2) 各章の初めには簡単にその章を学ぶ目的が述べられている。
(3) 正しく計算ができることを第一の目標にする。
(4) 間違えやすい箇所には少しくどいくらい丁寧な説明をしてある。
(5)
原則として証明は行わないで例証するにとどめた。また,行列式の定義など数学的な基礎がおおく必要なものは計算の上からの定義を与えて,なめらかに進めるようにした。
(6) 具体例を豊富にすることで,直観的理解の助けに資するとともに講義後に自習する際に役だつように配慮した。
(7) 各節の終わりなどに節の内容と関連する補足説明,あるいは興味あるコラムをいれた。
本書は,LaTeXによって書き,第5章の図は数式処理ソフトMaple(メイプル)によって作成した。
なお,本書への追加や修正等は次のウェッブページに随時掲載するのでご覧頂きたい。
http://mathweb.sc.niigata-u.ac.jp/textbook
2005年 夏
著者一同
目 次
1. 行列
1.1 行列,行列の定数倍,行列の和,差
1.2 行列の積
1.3 いろいろな行列
章末問題
2. 連立1次方程式
2.1 行列の基本変形
2.2 掃き出し法
2.3 連立1次方程式と逆行列
章末問題
3. 行列式
3.1 行列式の性質
3.2 行列式の計算法
3.3 行列式の展開
章末問題
4. 行列の対角化
4.1 数ベクトル空間
4.2 固有値と固有ベクトル
4.3 行列の対角化
章末問題
5. 行列の応用
5.1 行列のベキの計算と応用
5.2 多変数関数と2次形式
5.3 2変数関数の極大極小
章末問題
付 録
1 数学で用いる論理
2 基本解系
総合問題
問題略解
節の問題,章末問題の解答
総合問題の解答
参考文献
索 引
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