角 田 山 の う た 2010

                                   2003 2004  2005  2006 2007 2008 
                                         

         角田山のうたも7年も続けるとさすがに新鮮味がなくなってきたが、もうしばらく
     続けます。繰り返しがあるかもしれませんが、不思議といつになっても新しい
     発見がありそうなので。



                                   

                                   2010年10月17日 桜尾根




1. 1月3日 雪,最高気温3度,稲島コース

       新年明けましておめでとうございます。
       太陽はみえず天候は悪いですがこころのなかは:

        天にも地にもよろこびの、光はあまねく みちみてり 
        心の花のひらくれば とはにのどけき春ならめ  
                               辨栄聖者


2. 1月10日 曇り時々雪,最高気温5度,稲島コース


       冬を愛する人は 心広き人 根雪をとかす大地のような
       僕の母親

       芹洋子の四季の歌の4番目冬。私の感じでは母は春、冬は
       厳格な(昔のがんこおやじ)父のほうがぴったりしそうだが。


3. 1月24日 曇り時々雪,最高気温4度,稲島コース

     

     13日の大雪と強風で多くの木々が根元からあるいは
     途中から折れてしまった。自然界の出来事とはいえ
     もったいない。しかし人智ではかれない何かあるのだろう。
     途中で出会った人「まるでよその山に登っているみたいだ」
     (よその山という表現がやや奇妙に響いた)
     と云っていた。ご覧の通り雪が深く下山はアイゼンが必要。


4. 2月1日 曇り時々雪,最高気温5度,稲島コース

     こんな冬には山小屋の存在がとても助かる。
     ストーヴであたたかく、ゆっくりくつろげる。
     登山者のいろいろな話も聞け、情報交換もできる。
    小屋を利用するようになって、知り合いも増えた。

5. 2月8日 曇り時々雪,最高気温5度,稲島コース

       ことしは例年になく雪が多い。久しぶりに晴れの日曜日になった。
       佐潟には沢山の渡り鳥がいた。そろそろ北へ帰る準備をしている
       だろうか。


6. 3月14日 晴れ,最高気温7度,宮前コース

       久しぶりの角田山。すっかり春がおとずれていた。
       まだ盛りではないが雪割草があちこち咲き始めた。
       雪割草は新潟県の一部と能登の一部だけしかないそうだ。
       

      雪割草保護
     角田山で30年も自然保護に努めて来られた池田氏の話を頂上の小屋の中で聴く。
     角田山を含む近辺で雪割草の群生地は7つあったそうだ。今いくつあるか?
     今でも沢山みかけるからまだいくつかあるのだろうと思っていたら、一つもな
     いという。100×200メートル程度四方が雪割草で埋め尽くされる程の場所
     のことらしい。にわかには信じられないが、これはびっくり。散在しているのを
     見るだけでかなり感動するのだから、このような群生となったら、圧倒されて
     しまいそうだ。確かにそのような場所は今はなさそうだ。そう、近年雪割草が
     激減してしまったのだ。その大きな理由は人為的なもの、つまり、踏み込んで
     枯らしてしまう。もっと悪質なのは、盗掘するということ。
     14日の新潟日報には、弥彦山雪割草監視団体の紹介が載っていた。盗む
     人が絶えないのだそうだ、家に持ち帰って庭にでも植えて見るのだろうか。
     自然の中で見てこそ感動も大きいのに。それと、写真撮影で踏み込むこと
     の被害。普通の人はそのことが分からない。登山道をはずれた斜面にいっ
     ぱい咲いている、するとちょっとだけ、自分一人だけならと写真を撮りに踏み
     込んでしまう。これが原因。昨年灯台コースの梨の木が切り倒されて大騒ぎ
     になったがそんなことより、雪割草の深刻な被害に目をむけなければいけ
     ない、と。登山道の整備だけでなく、雪割草の保護育成になみなみならぬ
     力を尽くされてきた。とくに、桜尾根コースの整備、此の入り沢コースでの
     雪割草の被害地にあらたに移植する作業、重たい荷を担いで一日何時間
     もかかる作業を何年もポランティアでやってこられた。説得力のある、深刻
     な話。


7. 3月20日 晴れ,最高気温23度,宮前コース


      雪割草保護の話の続き:
      雪割草の盗掘は一般の人だけでなく、どうやら業者による盗みもある
      らしい。悪事にレヴェルがあるとすれば、こちらの方が一層悪質である。
      山からの帰り、住宅街を走っていると、道路に面した庭先に雪割草
      が咲いていた。この家の方はどのようにして手に入れたのだろう・・・?
      残念ながらこの庭先の雪割草は全く元気がない。
      上の黄色い花は「なつぼうず」とか、夏には葉が落ちて坊主になるからその
      名があるらしい。 カタクリのつぼみもふくらみ、希望に燃える季節だ。
      一つお願い:頂上の山小屋「健養亭」内ではたばこを吸うのをやめて
      ほしい。狭い小屋の中で吸ったら、周りはもろに大きな被害を被ること
      になる。
      さて、一つ疑問:
      上の2行2列の写真を見て分かるように、花弁の数が一定でない。
      花弁の数はほぼ、フィボナッチ数列に現れる数のどれかになることが
      多い。しかも同じ種なのに 5,6,7,8 がある。このような花は極め
      て珍しいのでないか?


8. 3月28日 雪,最高気温5度,宮前コース


      途中の田園では雲雀が歌い、畑仕事も始まった。いよいよ春だ。と思いきや
           午前中はかろうじて曇りだったのが、午後とうとう雪になった。
           道はぬかるんでいたが長靴だったので安心だ。ところが・・・
           普通の登山靴の方が、道をはずれてカタクリのつぼみをつけた
           ものなど混じる上を乱暴に歩いていたのには、驚いた。多分知らない
     のだが、教えてあげたい気持ちに なったが、その間に向こうに行ってし
     まった。自分もかつてはそうであった。


8. 4月11日 小雨,最高気温10度,宮前コース


    蕾、蕾
     雪割草も終わり、カタクリの花が満開になった。登山道途中横道に
     入ったところの水芭蕉も咲き始めた。
     山の木々はつぼみもふくらみ、葉がではじめたものもある。蕾と
     いえば今でもときどき思い出す言葉がある。半世紀も前の小学
     校6年のときの卒業記念文集に担任の澤田先生が書いてくださっ
     たかどでの言葉である。今では謄写版に刷った文集も黄色く色
     あせ、あちこちにシミもでき、ホッチキスで留めた部分もはずれ
     バラバラになっている。1クラス46名の団塊の世代だ。文集は
     子供らの書いた文を澤田先生自らが一文字一文字鉄筆で書いて
     くださったものをガリ版に刷ったものだ。まずその御努力にほん
     とうに頭が下がる思いである。では、蕾のことばをここに紹介し
     ましょう。

     赤褐色の嵐のあとに春が萌しはじめる。きびしい自然の掟に
     たえて力強く生き成長していく生命の逞しさ。しいたげられ
     いためつけられても 生来のみずみずしい美をはぐくむ花の”蕾”
     ”蕾””蕾””蕾”
     あなた方はこれからの一日一日が大切だ。過ぎ去った時は
     再びは戻ることがない 自己を正しく育てるために有効に時を
     活かそう 時はいかようにもあなた方の人生を変えてしまう
     ものだから-----
     あなた方は まだ蕾以前である 立派な蕾を持つためには
     たゆまぬ努力が必要なのだ 未熟な自己を自覚して いつも
     つつしみ深く しかし意欲を燃やし全力を傾注して頑張ることだ。
     眼前の極彩色なはなやかさに眩惑されてはならぬ 軽薄な
     気持ちに自己が支配されぬよう学べ
     善い友人をつくるように 友達によって自己がぐらつくようでは
     いけないが やはり善い友人は必要だ----

     6年生にとっては、何と難しくも高尚な言葉であろう!このような
     優れた見識をもった先生に教わったことは何とありがたく、幸せ
     なことであったろう。時を浪費してきた過去を振り返るとき内心
     忸怩たる思いである。


9. 4月18日 小雨のち曇り,最高気温13度,灯台コース
          下山、此の入り沢

     下山は桜尾根から此の入り沢コースを池田さんと
     ご一緒させていただく。しばしば立ち止まりいろい
     ろの自然保護の話をきく。
     ・登山道に下から石を担ぎ上げ、それで階段を作る。
      石というより岩である。それを下の此の入り沢から
      担ぎ上げる。
     ・荒らされた雪割草の部分に移植する。
      いろいろな花、ショウジョウバカマなどを、登山道横
      に植える
     ・横道に入らないようにロープを張る、枯れ木で
      通さんぼをする。
    ところどころ道の横には大きな石が固まって置いてある。
    何と言葉を返してよいか分からない。余りに重い。
    ただ、感謝感謝である。
    ”地上の星”を思い出す、しかしより自然で、あれほどの気負
     ったところはないが。
      ♪♪風の中のスバル 砂の中の銀河  みんな何処へ行った
      見送られることもなく   
      草原のペガサス 街角のヴィーナス みんな何処へ行った
      見守られることもなく
      地上にある星を 誰も覚えていない
      人は空ばかり見てる
      つばめよ高い空から 教えてよ地上の星を
      つばめよ地上の星は 今何処に
      あるのだろう ♪♪


10. 4月25日 晴れ,最高気温15度,桜尾根コース


     佐潟も桜が満開。桜尾根を上り降りした。
     カタクリも終わりふもとでは山桜がもう散り
     始めていた。しばし惜春の情にひたる。
     年々歳をとるごとに花鳥風月が美しくなる。
     私にうたごごろあれば、惜春を歌うのであるが・・・

     あゝわれコレッジの奇才なく バイロンハイネ
     の熱なきも 石を抱きて野にうたう 
     芭蕉のさびをよろこばず
                「人を恋うる歌」 与謝野鉄幹                           

11. 5月2日 晴れ,最高気温20度,五倫石、山の神コース


     行く春を惜しみつつよはいかさねる

     初めての山の神のコース。既知の道と違い坂を越えたら
     どんな風景が待っているかとの期待で胸はずむ。150
     メートルほど階段を登ると虚空増菩薩の小さな石の祠が
     あり、そこからはなだらかな上りの道が続く。萌黄色の
     若葉の道は光と希望にあふれている。ところどころ山桜
     の白が映える。頂上は桜も開花を始め若い人たちも多く、
     子どもたちで賑わっていた。
     この情景クラシック音楽では、マーラーの交響曲3番か。
     「・・・それぞれ牧場の花が、森の動物たちが、人が、
     天使が、愛が・・・私に語ること」という標題が付けられ
     ていたという。それにしても、このすばらしい3番がな
     ぜか余り採り上げられない。


12. 5月9日 晴れ,最高気温20度,宮前コース

          緑の濃くなった林の中を歩く。途中羅生門カズラの群生地あり。
          頂上経由して観音堂前へ。広場横の八重桜がちょうど満開 
          空気が澄んでいるので、まだ雪におおわれている飯豊山が
          くっきりと望まれる。


13. 5月16日 晴れ,最高気温25度,宮前コース、此の入り沢コース



     ことし初めてカッコーの鳴き声を聞いた。といえば・・・
     Delius 作曲の On the hearing the first Cuckoo in Spring
     クラシック音楽といえば、ドイツ・オーストリア系が中心で、次に
     イタリア、フランス系であるが、イギリスやロシア系もなかなか
     いい。
     途中佐潟を訪れる。残念ながら湖畔はだいぶ汚染が進んで
     きている。うっすらと油が浮いているところがありラムサール条約
     登録地にしては残念。
     若葉が美しすぎる。最後のまるい葉はブナ。
     山では、ついにホトトギスの鳴き声も聞けた。いま春の
     まっただ中にいる。

14. 5月23日 晴れ,最高気温18度,宮前コース



15. 5月30日 晴れ,最高気温20度,五倫石、山の神コース


         稲島から竹野町五倫石への途中の角田山麓(上の中の写真)で、
         ホトトギスがやすみなく鳴いていた。
    向陽道林まえ広場からは新潟市街の朱鷺メッセや
    ビッグスワンさらに日本海の孤島粟島も望めた。
    向陽道林の正面の2つの柱に
    我此土安穏天人常充満     十方諸国土無刹不現身
    と法華経の一文があるが、いまこの世界とこころの世界、
    まさにこの通かと思われた。

16. 6月13日 晴れ,最高気温25度,宮前コース


    エゴの花とバイカウツギの花の咲いている頃だ。
    うっそうとした林の中を歩む、すると足下にエゴの
    花びらが散っている。見上げると緑の葉の中に
    純白の花がいっぱいぶら下がっている。
    角田のような里山だと、登山道の周りは(夏は)
    雑木林でいっぱい、そこには週ごといろいろな花が咲き、
    虫、蝶、トカゲなど生き物たちが現れ、いろいろな鳥が
    鳴き地面から空まで緑に包まれる。無数のいのちの輝き。
    それに比べ高山は無機の世界とは云わないが、命の
    営みがあまり感ぜられず寂しい。


17. 6月20日 晴れ,最高気温24度,宮前コース


     佐潟のハーブ園により、宮前コースへ。
     頂上付近は霧につつまれていた。小さなサクランボの
     実を付けている:

     くちびるのあけの球実の桜桃に山霧の降るころかとおもふ
                              河野愛子

18. 7月4日 晴れ,最高気温27度,宮前コース


     上りの途中ムカデにあう。赤と黒の不気味な色。
     幼い頃裸足で友人の家の裏の林で遊んでいるとき
     足に激痛が走り、大きく腫れ上がったことがある。ムカデを
     踏みつけてしまったのだ、それ以来ムカデが気味悪くてしかたない。
     たいていの虫は決して嫌いでないのだが、ムカデは苦手だ。
     しかし・・・よくよく思い見ると、そのムカデの形をとり
     生まれてきた命がある。それは何?誰だろう?
       自身はこれ現に罪悪生死の凡夫、こう劫よりこのかた、
       つねにしづみつねに流転して、出離の縁あることなき身としれ
                                   (善導)
     幸か不幸か我々には前世の記憶がない。


19. 7月11日 小雨,最高気温28度,宮前コース


                                                                                                               

     雨なので頂上の小屋に入る。
     なじみの皆さんが昼食、雑談でにぎやか。
     笹団子をいただき、ありがとうございました。
     頂上すぐそばの沙羅の花が咲き始めた。
     大木の高いところに咲いているのでよく見えないし
     撮影もうまく行かない。
     しばらく前から紫陽花は咲き続けているのに
     沙羅はすぐ散ってしまう。桜よりはかない。

      芥川龍之介の歌を一つ:
        また立ちかへる水無月
        歎きをたれにかたるべき。
        沙羅のみづに 花さけば、
        かなしき人の目ぞ見ゆる。

20. 7月18日 快晴,最高気温31度,宮前コース


     昨日梅雨空け。快晴の今日暑い暑い。
     汗でびしょびしょ、2リットルの水を飲んだ。
     しかし、深い緑の森の中を歩く心地よいこと。
     頂上は涼しい風が吹き渡り昼寝は寝過ごした
     こんなときは、シベリウスのバイオリン協奏曲
     やフィンランド民謡がぴったり。澄み切った空気
     緑の針葉樹林のなか、ところどころに湖が光る。
     爽やかなかちょっぴり寂しさがただよう。
     民謡はなぜか日本ではあまり知られていない。

         カンガスアラの夏の日に
     私は一番高い枝に ユルハラの尾根に腰かける
     目が霞むくらいはるか彼方に 湖が奥まって行く
     のが見える 身よ 向こうにランゲルマ湖の
     銀のさざ波が輝いている
     そしてロイネ湖のやわらかいさざ波
     その岸辺は美しい


21. 7月25日 曇り,最高気温31度,宮前コース

     ホトトギスは去り、アブラゼミが賑やかだ。そして、山ユリが
     咲き始めた。毎年のことながら、深山での山ユリの感動は新鮮だ。
     下山時にはヒグラシさえ鳴き出した。桜は黄色く変わった葉も
     ある。この暑いのに、かすかに秋の気配。そういえばすでに
     夏至を過ぎて、一ヶ月余り。ほんとうに月日の去るのは速い・・・

     人間匆々として衆務を営み,年命の日夜に去ることを覚らず, 
     灯火の風中に滅えなんこと期し難きが如し。
     もうもうたる六道定趣なし,未だ解脱して苦海を出づること能わず,
     いかんぞ安念として恐懼せざる。
     おのおの聞け強健有力の時 自策自励して常住を求めよ。
                              (善導大師)

     頂上で寝転んでいるわきの葉の上に蝉の抜け殻が。
     本体の蝉は今どうしているか。

22. 8月1日 晴れ,最高気温31度,宮前コース

23. 8月8日 晴れ,最高気温33度,山の神コース


     暑い暑い、毎日暑い。ことしは休み無く暑い日が続く。

     青い空は動かない
     雲片一つあるでない。
     夏の真昼の静かには
     タールの光も清くなる

     夏の空には何かがある 
     いぢらしく思わせる何かがある。
     焦げて図太い向日葵が
     田舎の駅には咲いてゐる
             中原中也


     下山は竹野町コース。しばらく訪れない間に
     路の整備がしてあった。新しい階段に右足を引っかけ
     左は下に滑って、右膝をひねってしまった!(たいしたことは
     なかったが)


24. 9月5日 晴れ,最高気温33度,宮前コース


    佐潟はハスが少なく、菱が湖面を埋め尽くしていた。
    いったいどうしたのだろう?昨年までハスがいっぱいだったのに。
    暑い晴天がつづくため、登山口近くの木々は枯れ葉になっていた。
    おきなユリもおわり、キツネのカミソリも見られなかった。
    頂上では知り合いのグループに呼び止められ、昼食を一緒に。
    それにしても暑く熱い日が続く:
    こんな日本だが・・・
    「春の雲」(岡潔)の坂本繁二郎との対談では

   坂本:・・・(フランスには)日本のように四季がない。とくに
     日本の夏の実感がなく、春からそのまま秋になります。ムンムンする
     夏がないことはいいようですが、植物、動物、万物が活発に動く
     体験は、絵かきとってとくに必要で、その点、春夏秋冬ゆったりと、
     それらしくめぐる日本は実にいいです。
   岡:四季のないところで数学をやれといってもできないのです。
   坂本:フランスの花にはにおいがありません。いくら美しくとも、
     造花のようなかわいたさみしさを感じました。
   岡:そうそう、私も故郷に帰って電車から降りると、木の葉のにおい
     がいきなり鼻をつき、なつかしく思いました。


25. 9月12日 曇り,最高気温29度,宮前コース

    昨夜豪雨だった。新潟市には洪水注意報が出た。
    幸い昼は雨はあがって登山ができる。長靴でコウモリをもって
    出かける。長靴で登山とは以前は考えもしなかったが、これは
    意外にいい。葛の花が今を盛りとあちこちに咲いている。

      葛の風 吹き返したる 裏葉かな    高浜虚子

26. 9月19日 曇り,最高気温27度,山の神コース

     下山は五倫石コース。このみちには沢山のつりふね草と
     黄つりふねがあり、今盛りである。 田んぼではいまどきハスが
     花をつけていた。
     草むらでは虫たちが賑やか。コオロギと鈴虫なのだろう。
     小さい頃故郷ではガチャガチャ(正式の名前はクツワムシ)
     をよく聞いたものだ。秋祭りの夜などがガチャガチャの鳴き声ととも
     に思い出される。新潟では聞いたことがない。
     (関東以南九州まで生息らしい)

        秋の野を手にさげてきく虫籠かな
                             貞徳


27. 9月26日 晴れ,最高気温23度,宮前コース

29. 10月2日 晴れ,最高気温25度,灯台コース、下山、桜尾根

     うっすらと紅葉が始まった木あり、まだ深緑の木あり。
     遠く佐渡を背後に振り返りつつ岩場を登る。
     下山は桜尾根から。紅葉から垣間見る真っ青な空
     の美しさ。そこを一陣の風が通り過ぎる。
     途中で大きなスズメバチに出くわす。
     体の周りを回り始めた。こちらは手を出さないで
     そっと遠ざかる。

30. 10月10日 曇り時々小雨,最高気温22度,宮前コース

     今年は猛暑のせいで曼珠沙華も開花がおくれた。
     山への途中街道沿い満開の曼珠沙華であった:

        かたまって曼珠沙華のいよいよあかく
                             山頭火

     ・・・歩いているうちに、はたして降り出した。しょうことなし
     に八本松は雨中行乞。どうやらこうやら野宿しないで済みそうだ。
     晴れて歩く。一歩一歩、両側の山が迫る。谷川の音がうれしい。
     ススキ、はぎ、そしてキキョウやアザミや、名もしらぬ秋花。
     山家に高くかかげてある出征の日の丸、ぶらりと糸瓜。
     「良い犬の子あげマス」という紙札。  山頭火「東行記」から


31. 10月17日 晴れのち雨,最高気温22度,灯台コース、下山、桜尾根 


     下山は桜尾根コース、このページのトップにあるようjに
     緑、黄緑、黄色、茶、朱、赤と今林はいろいろな色に染まっている。
     林の中に立ち、上を見上げると、秋の弱い光に紅葉が映える
     この感動はこころの深い所にしみこむ。
     思いがけず、一人黙々と登山道の整備をされている池田さんに
     遇った。大きなザックが横にある、大きな石を運んできたらしい。
     崩れた段に石を埋め、ハンマーで杭を打ち込み
     固定している。帽子からは汗が伝わって落ちている。
     しばし苦労話をお聞きして、下山する。
     登山者よ、こころして登山せよ・・・
     先のとがったストックやスパイク靴は使用しない。
     登山道以外入らない。

32. 10月24日 曇り,最高気温20度,五倫石、山の神コース
33. 10月31日 曇り,最高気温18度,宮前コース




    紅葉が始まった。頂上ちかくでは、もう桜は落葉している。
    周りが紅葉の下にたたずむ、そして来し方を想いおのれの
    人生を振り返る。
      秋、人生の秋、ブラームス交響曲4番
    お酒とクラッシック音楽の好きな人にとって、秋のブラームス交響曲4番は
    たまらないらしい。静かな秋の夜、ブラームス交響曲4番を聞きながら
    チビチビとお酒を飲む:
       白玉の歯にしみとほる秋の夜の 
           酒は静かに飲むべかりけり
                               若山牧水
    だそうだ。(志鳥栄八郎氏) 下戸の私には音楽だけだ。
    31日は久しぶりに観音堂前まで行く、粟島もくっきり見えた。
    するとOさんが来てお湯を沸かし、コーヒーを淹れてくれた。
    おいしかった。   

34. 11月7日 快晴,最高気温20度,灯台コース、下山、桜尾根 


35. 11月14日 曇り,最高気温19度,宮前コース


     今の若い人たちに古い言葉の美しさは感じられる
     だろうか?といって我々にもおそらくは
     十分ではないのかも知れないのだが。
     
       あかしやの金と赤とがちるぞえな。
       かはたれの秋の光にちるぞえな。
       片恋の薄著のねるのわがうれひ。
       曳舟の水のほとりをゆくころを。
       やはらかな君が吐息のちるぞえな。
       あかしやの金と赤とがちりぞえな。
                       北原白秋

36. 11月21日 快晴,最高気温17度,湯の腰コース

     上堰潟に寄る。多くの人で賑わっていた。 
     それからひこばえの田んぼの道を心地よく
     サイクリング。(ふと冬の道の難儀を思い出す)
     紅葉を求めて、久しぶりに湯の腰コースを登る。
     しばらく林道を行く。途中別荘の並ぶあたり
     美しい黄葉だけの世界になった。

        目になれし山にはあれど
        秋来れば
        神や住まむとかしこみて見る   啄木

     林の中にしばしたたずむ。黄葉の間からの
     青空の美しさ。

37. 11月28日 曇り,最高気温12度,宮前コース


      ふきげんな風が かよわい葉っぱを枝からひっぺがし
      月にむかって 投げあげる
                             リンデン マクファーレン

     昨晩から寒気団の通過中。風つよく海側の木々の葉は
     吹き飛ばされてしまった。地面には落ち葉がいっぱい。
     小雨の中歩くと、落ち葉はしめった音をたてる。
     ありがたいことに山小屋ではストーブの火で暖かい。
     小屋はいつもの知り合いが4人(少ない)。
     観音堂まえ広場から頂上までの木道で心臓発作で
     亡くなった人がいたとか・・・深刻な話 

38. 12月5日 晴れ,最高気温16度,宮前コース


            鳥かげの窓にうつろふ小春日を
              木の実こぼるる音しずかなり  金子薫園

          この時期にしては異常に暖かかっかた。昼食と昼寝は外で
          できた。裸になった林でカラスウリの黄がひときわ目立つ。
     そして、名前も知らない木の実も多く、鳥たちの食料となる。


39. 12月12日 小雨,最高気温9度,灯台コース、下山、桜尾根 

      もう12月も中旬さすがに天候の悪い日が多くなった。
      今年も残すところ少なくなった。
      ほんとうに歳を取ると共に時の流れを速く感じる。

          人間匆々として衆務を営み,年命の日夜に去ることを覚らず,
          灯火の風中に滅えなんこと期し難きが如し。
          もうもうたる六道定趣なし,未だ解脱して苦海を出づること能わず,
          いかんぞ安念として恐懼せざる。
          おのおの聞け強健有力の時 自策自励して常住を求めよ。
                                                  (善導大師)

40. 12月19日 快晴,最高気温13度,灯台コース、下山、桜尾根 



     ありがたいことに、日曜の今日快晴。
     先週の雪で8合目あたりから道は雪に覆われていた。
     快晴の青空と雪の白のコントラストが美しい。
     観音堂横の山茶花が元気一杯に
     咲いている。角田登山は40回目の今日が今年最後になる。