角 田 山 の う た 2009

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1. 1月3日 晴れ時々雪,最高気温5度,稲島コース


           さきだちて ひらけるはなのあらなくば あけぬる春のこころなからむ 弁栄聖者

     1日,2日は天候が悪く3日に稲島から登る。好天気と正月にさそわれて
     沢山の人が登っていた。冬至も過ぎ太陽が北半球に戻ってくると思うと
     こころ弾む。佐潟には冬鳥が沢山群れていた。



2. 1月11日 曇り時々雪,最高気温5度,宮前コース

      灯台コースから登る予定でいたが、宮前コースの入り口を通ったとき
     駐車場に車が3台あり、ちょうど一人が下山したところであった。頂上付近の
     雪の様子を尋ねたところ、全く安全とのことで、急遽宮前に変更。
     実はこれがあとで大変なことになった。・・・午後になり雪が降り始めたのだ
     頂上から下山のとき、このときほどの恐怖はあまり経験がない。
     仰向けになり背中を地面すれすれにして、少しずつ石や近くの枝につかまり
     降りた。細い下山道の両脇は崖で道は雪で急である・・・失敗は重傷か死
     につながる。
     


3. 1月25日 曇り時々雪,最高気温4度,稲島コース

     稲島の手前の田んぼで、暗いそらに純白の白鳥の群れが5羽6羽、カメラを
     準備する間に遠ざかる。
     人間の目には美しいとしか映らないが、鳥たちにとっては今はもっとも厳しい
     季節なのだろう。生きるため懸命にえさを探しているのである。えさにありつ
     けないことは死につながる。
     登山口までたどりつくのが大変だが、登り始めてから雪景色の山がいい。白
     と黒の世界、きりりと張り詰めた空気、そこに描き出されるこの世ならぬ幻想
     的な世界。数学の美しさをたとえるとしたら、このようなものになろうか?
     頂上の小屋で昼食と一休み。よく見かける人たちが、いろいろな話題で盛り
     上がる。栗ヨーカンのお裾分けにあずかった。
          帰り、雪に埋もれた田畑の中の道、自転車をこぐ、浮かぶのは決まって、
     シューベルトの「冬の旅」 最初の「おやすみ」のメロディーがずっとかけめぐる・・・
           ♪♪ Fremd bin ich eingezogen...... Der Weg gehullt in Schunee. ♪♪
          それから6曲の「雪どけの水流」
          ♪♪ Manch Tran' aus meinen Augen ......Durstig ein das heisse Weh♪♪


4. 2月1日 曇り時々雪,最高気温5度,稲島コース


        山ふかみ春ともしらぬ松の戸に絶々かかる雪の玉水   
                                         式子内親王

     いちばん共感する歌人の一人、式子内親王の歌から。
     途中椿谷を通り、いつもと違う虚空増蔵菩薩のあるコースへ入る。
     道は悪く危険箇所もいくつかある。ときどきヒョウがパラパラとやって
     くる。しかし日ざしはつよくなり春はそこまで来ている。期待に胸
     はずむ高揚感が何とも言えない。あの秋のわびしさとは対照的で
     ある。



5. 2月8日 曇り時々雪,最高気温5度,宮前コース


     灯台コースの海岸登山口から3つほど小山の険しい崖の道を上り
     下りして、全行程の半分ほど行ったところに見晴らしのいい休憩場所があり、
     そこに大きな梨の木がある。春には純白の美しい花を咲かせ、夏は木陰を作り、
     秋には黄葉し実を付ける。ここは絶好の休憩場所になっており、
     角田山登山コースの名所の一つでもある。2003年4月27日
     上の真ん中の写真がそうです。ところが・・・この木が切り倒されたと
     いうのです。にはかには信じがたいが、頂上の小屋で皆さんがそう
     言ってとても残念がっておられました。私も同感です。なぜ?なぜ?です。



6. 2月15日 曇り時々雪,最高気温13度,宮前コース

     暖かい、昨日静岡では26度を記録したとか。
     とうとう雪割草が開花した。枯れ葉のあいだからちょこんとちっちゃな
     花をつける。その可憐さ、と春はすぐそこまで来ている、そのうれしさで
     この花には特別の思い入れがある。これは新潟の人の共通の思いなの
     であろう、県の花でもある。宮前コース登山口には10台の車が
     駐まっていた。登りと下りに数名と出会う、やはり花を求めて登る人が
     多いようだ。


7. 3月21日 晴れ,最高気温10度,宮前コース

     出張が多く久しぶりの角田山となった。途中いくつか村落を通るが、
     この時期いつもの家の庭に咲く紅梅がことしもいつもの通り美事に
     咲いている。こちらは1年歳を取っているのに。梅の木も年齢を
     重ねているのだが、見た目にはわからない。

         洛陽城東桃李の花
         飛び来たり飛び去って誰が家にか落つる
         洛陽の女児顔色を惜しみ
         行く行く落花に逢って長く嘆息す
         今年花落ちて顔色改まり
         明年花開くとき復た誰か在る
         己に見る松柏の摧かれて薪と為り
         更に聞く桑田の変じて海と成るを
         古人復た洛城の東に無し
         今人還た対す落花の風
         年々歳々花相似たり
         歳々年々人同じからず
         言を寄す全盛の紅顔子
         応に憐れむべし半死の白頭翁   

     あと何回この春を迎えることが出来るのだろう?と歳を取ってくると
     思う。
     登山口は車でいっぱい、30台くらいある。鶏が放し飼いになっていた、
     どこか昔の田舎を思い出し懐かしい。雪割草が満開になっていて、
     カタクリも咲き出した。


8. 3月29日 曇り時々雪,最高気温8度,灯台コース、桜尾根コース


     灯台コースの登山口、駐車場はいっぱい、東京や福島ナンバーの観光バス
     がいくつか。コースには数珠つなぎに登山者が。雪割草やカタクリの花を目当てに
     登山のようだ。あの梨の木が写真のとおり無残な姿に。道はぬかるんで足の踏み場
     を選びつつの登りだった。頂上でもこの通り雪があり寒い、というわけで小屋に入る。
     すると、久しぶりに会う人たちがいた。
     紫の雪割草も桜尾根コースのあちこちに咲いていた、 美しい季節の始まりです。

8. 4月4日 曇り後小雨,最高気温15度,宮前コース

      小雨模様というのに、沢山の人人。小屋で休んでいたら、石川県からの
      登山者という人あり、あまり雪割草見られなかった、期待外れだと。そし
      たら、ここの常連の登山者、どっから登ったのか?と。曰く灯台コースから
      だと。それではだめだ、このいりさわがいいと。
      雪割草の自生しているのはどの地方なのだろう?
      北陸地方近辺なのだろうか?

9. 4月12日 晴れ,最高気温23度,五倫石コース

      山への道すがら桜をたずねて回り道。写真は順に
      佐潟、上堰潟、松野尾、二箇堤の桜。従って登山コースも竹野町
      五倫石コース。こちらにはカタクリの花はほとんど見られない、土
      壌か気候か周りの植生のためなのか?海側の斜面は今一面に
      咲いているというのに淋しい。杉林が多く、たまにみつけたやつも
      細く薄い色で元気がない。なんと、下山時三匹のタヌキを見かけた。
      枯れた林のなか、がさがさ音がするので、そちらをみると、まるま
      る肥えたタヌキがじっとこちらを見ている。しかし写真撮るまもなく
      すぐ逃げてしまった。

       のどかなる春の日よりに咲きにほふ
                  花にたぐへん我がこころかな
      聖者


10. 4月19日 晴れ,最高気温16度,灯台コース、桜尾根コース

      もう雪割り草も終わりだが、昨晩天地人で雪の間から咲く
      雪割草の場面があり「・・・越後の春はおそい、長い間雪に埋もれて
      こうして雪の間から雪割草が強くたくましく花咲くのです・・・」
      のようなことを言っていた。
      今ちょうど山は桜が満開で、とおくかすんだように見える。
      帰りは桜尾根コースから木の入り沢に入る。

11. 4月26日 雨,最高気温13度,宮前コース

     午前県立青少年研修センターに寄り、それから登山。
     新緑が目にしみる、ほんとうにこころの垢洗われる感じである。
     寒気団が通過して、北海道はこの時期めずらしく雪。午後から
     雨まじりの強風。頂上は霧に閉ざされて寒い、小屋にはストーブ
     に火が入っていて暖かい。こんな天候に登ることはないのに
     と思いきや、日曜日しか登れないらしい。帰路は雨と強風の中
     横からの強風で自転車は反対車線まで飛ばされたが、
     幸い車が来なくて命拾い。


12. 5月3日 曇り,最高気温23度,灯台コース、小浜コース

     はや染井吉野も葉桜、いま八重もそろそろ終わりに
     山は萌黄色、新緑がこころにしみいる。若い家族連れで
     賑わっていた、ほんとに時間の過ぎるのが速い

     弁栄上人のお慈悲のたより(大正元年、小倉から)から

     真庭に笑める七重八重  きょう九重のさくらより 
     君がこころに咲きにおう  まことに花ぞめでたけれ
     我ためにとて斯ばかり  いたらぬくまもなきまでに
     こころづくしのつくしがた  きみがまことの庭ふかみ
     白くれないに桃さくら  柳のみどりこきまぜて
     我日の本はさながらに  にしきをしくかとあやしきに
     ながめもあかぬときの間に  すさむ風にさそわれて
     さくらの花も散はてぬ  春の名残ぞしられけり
     大ミオヤはこころなき  草木に花を咲かしてぞ
     人のこころもかぐわしく  かく聞かせとしめしけむ
     子らのためとて大ミオヤの  こころこめてや世の中の
     常なきさまをさとれよと  ちる花にまでおしえけり

13. 5月10日 晴れ,最高気温26度,宮前コース

      桜は終わり花は藤とツツジに変わっている。
      とくにこの時期は時の流れを速く感じる。

      いちはつの花咲きいでて我が日には
      今年ばかりの春行かんとす         正岡子規

14. 5月16日 曇り,最高気温20度,宮前コース

      日曜日は天気が悪そうなので土曜に変更。宮前コースは
      ずっと林の中だ・・・
      新緑のなか、こころをこの体から解放して、この自然のなか
      に遊ばせる・・・
      観音堂からは水の張られた水田が一望のもとに。
      近くには、まるばあおだもの花が咲いている。
      帰りは佐潟をまわる。懐かしいような自然が残っている。

15. 5月24日 曇り,最高気温18度,宮前コース

      頂上は霧に覆われていて少し寒い、なのにどこかの団体
      さんでいっぱい。谷卯木が満開だ。昼食後小屋に入る。いつ
      も見かける人たちが賑やかだ。隅のほうに行って横になる。
      初めてぐっすり眠った、しかし時間にするとわずか15分くらい。
      だが目が覚めたとき、一瞬しまった寝過ぎたと思った。

16. 5月31日 小雨,最高気温18度,宮前コース


     先週と同じ天候。宮前コースに入ってしばらくすると
     道にエゴの花びらが落ちていたので、見上げると
     緑の中に小さな純白の花がいっぱい。まわりは霧に
     つつまれホトトギスの鳴き声がこだましている。
     あのどこかぎごちない鳴き声が元気一杯にこだましている。
     帰りには頂上から少し下ったところで、サンショウウオに
     であう。山道の真ん中にいるので脇にどけてあげようと
     葉っぱで動かそうとするがなかなか動かない。
     ・・・豊かな自然に包まれた平和な時間であった。

       ほととぎすあすはあの山こえて行かう
       わが路遠く山に入る山のみどりかな
                            山頭火

17. 6月14日 晴れ,最高気温23度,宮前コース


     佐潟では蓮も大きくなった。宮前コースはほとんど林の中、
     木々が限りない安らぎとエネルギーをくれるようだ。
     山頂には大きなエゴの木があり、今を盛りといっぱい咲いて
     いる。そんな中クマンバチはせわしく飛び回っている。

       空白の空のページを 希望という文字で埋める
       ささやかな風の流れは 両頬を分けて通る  
                          銀色夏生


18. 6月21日 晴れ,最高気温28度,宮前コース


     おもいひでの 胸に湧くごと
     水色の晴れたる空に
     やわらかう雲一つゆく。
     飽かず見る空のけしきに 
     ほのかなる昼の月
     心ありげに光なく
     消えなば消ぬべく残りたり  白鳥省吾



19. 6月28日 晴れ,宮前コース
20. 7月 5日 晴れ,宮前コース
21. 7月26日 晴れ,最高気温28度,宮前コース

     ことしもみごとな山ユリが咲きました。宮前コース登山口
     入ってすぐのところに25本くらいが散らばって咲いている。
     おもわず息をのむほどの感動。
     7月29日午後6:30ころ内野小学校脇の新川にかかる橋の上で
     朱鷺の飛ぶのをすぐ上に見た。純白の体に羽のうらが文字通り
     トキ色でとっても美しかった。
22. 8月 2日 曇り,最高気温26度,宮前コース
23. 8月 9日 雨,最高気温25度,宮前コース

     午後にはよくなると思い小雨の中でかけた。しかし、山は霧に
     閉ざされ、頂上の小屋で休む。しばらくすると、雷もなり本格的な
     雨になってしまった。登るときは汗をかきかききたのに、
     すこし寒いくらいになった。帰りには上の写真の通り雲間
     から頂上が眺められた。


24. 8月17日 晴れ,最高気温30度,浦浜コース


     この次期浦浜コース途中はキツネのカミソリが楽しめる。
     一つ一つは余りきれいとは思わないが、群落となり斜面
     一体に咲いていると、ちょっと感動的である。
     彼岸花に似て不思議な花である。茎には葉がなく直接
     花が咲く。炭酸同化作用(光合成)などやらないのか?

23. 8月23日 晴れ,最高気温30度,宮前コース

23. 8月30日 晴れ,最高気温28度,宮前コース

     佐潟では祭りが開催されていて、潟には灯籠が浮かべら
     れていてなにやら、しんみりとした気持ちにさせられた。
     宮前コース登山口から少し入ったところ、ことしも遅咲きの
     ユリが咲きだした。名前は?テッポウユリに似ているが
     違う。あとできいたところ、うばユリだとか、本当かどうか?
     今日は総選挙の日、すこし早めに帰って投票にいったら、
     出口で、NHKの調査員から出口調査の協力の依頼をうけた。
     初めての体験。なるほどこんなふうにやっているのか。

23. 9月 6日 晴れ,最高気温29度,五倫石コース

     水と土の芸術祭の一環として、上堰潟公園でわらで
     作った恐竜の作品が出来ていた、武蔵野芸術大学からの出品
     だそうだ。久しぶりに五倫石コースから登山、黄つりふねを
     みたいと思った。そしたら想像をはるかに超えた沢山の
     黄つりふねが咲いていたのには感動した。どうやら付近の
     杉林が伐採され、日が当たるようになって一挙に増えたらしい。
     ああことしも秋がきた・・・

23. 9月13日 雨,最高気温23度,宮前コース

     行きは強風と雨で難儀した。寒気団が通過中のようだ。
     厚生年金スポーツセンターから、ふもとまで風をさえぎるも
     のはない。自転車が進まない。近道しようとしたら結局遠回り・・・
     最近TV のコマーシャルで印象的な映像と言葉がある。 

       近道は遠回り.急ぐほどに足をとられる
             
始まりと終わりを直線で結べない道が,この世にはあります.
             
迷った道が,私の道です.


24. 9月20日 晴れ,最高気温24度,灯台コース、桜尾根コース

    灯台コース登山口近くに、水と土の芸術祭の作品が
    あった。まだツクツクボウシとミンミンゼミが鳴いているが
    紅葉は始まっている、空気もだんだん透明になり空も
    高くなった。八木重吉の鋭敏な感性の誌を一つ:

         この明るさのなかへ ひとつの素朴な琴をおけば
         秋の美しさに耐えかね 琴はしずかに鳴りいだすだろう
                             

25. 9月27日 晴れ,最高気温25度,蛍の里福井コース

26. 10月3日 雨のち曇り,最高気温20度,稲島コース

27. 10月25日 晴れ,最高気温20度,宮前コース

     いのち。
     上りの途中、アオダイショウやトカゲに出くわし、モンキチョウ
     も忙しそうに飛び回っていた。それから赤とんぼが沢山飛び
     回っていた。足下には沢山のドングリの実が散らばっており
     一つ拾おうと思ったら意外や、すでに根が地面に降りていた。
     これから冬を迎え、雪の下でも命を続けてゆくのだろう。
     ドングリは地面に返す。われわれの思いの及ばないいのち
     の活動にふれた思いでしばし厳粛な気分になった。紅葉が
    見頃、最後のいのちのかがやき。

28. 10月31日 晴れ,最高気温22度,灯台コース・小浜コース

     明日は寒気団が来て荒れ模様との予報なので土曜日に登る。
     ことし最後の紅葉狩りになりそう。歳を取るごとに(新緑もそうだが)
     紅葉が美しく感じられるようになった。
     歩むごとに落ち葉の乾いた音を聞きながら登る。そして、ときどき
     道々立ち止まり周りを見渡す。木漏れ日の中紅葉黄葉が輝く。
     ずっと記憶にとどめておきたい・・・とおい将来にもいつの日か
     きっとこの情景を思い出す日がある。帰りは小浜コースの紅葉黄葉を
     訪ねる。灯台コースの尾根をたどる人がいかにも危うく見渡せた。


29. 11月7日 晴れ,最高気温22度,宮前コース

     ルートを知らない山の登山は数学の研究に似ている。
     「数式に憑かれたインドの数学者」(日経BP社)から:
      数学は私(ハーディ)にとって、つねに次のようなものであった:
     山並みを見ているとする。A峰ははっきり見えるが、B峰は雲に
     隠れてほとんど見えない、やがてA峰からB峰に続く尾根を見つける。
     B峰にたどり着けば、そこから先、つまりさらに遠い峰峰に歩みを
     進められる。・・・
     (しかし残念なことに、この本は題名と異なりラマヌジャンについてたいして
     書かれていない。当時のイギリス数学界のスキャンダル(?)がおおく
     がっかりした。)

30. 11月15日 曇り,最高気温15度,宮前コース


     強風で荒れた一日だった。佐渡汽船もJRも休みになったほど。
     登山口までたどり着くのに困難を極めた。とくに赤塚の厚生年金
     スポーツセンターから麓までの田園の中。山に着けばあとは林の
     中を歩くのでたいしたことはない。残り少ない葉も吹き飛んでしまった。
     鉛色の日本海には岸に向かって沖合から白い大きな波が続け
     ざまに打ち寄せている。冬の日本海の姿だ。

        海は荒海 向こうは佐渡よ
        すずめ啼け啼け もう日はくれた
        みんな呼べ呼べ お星さま出たぞ
                      大正11年、北原白秋



31. 11月22日 曇り,最高気温12度,竹野町・五倫石コース

    里の秋
    角田山の南山麓、農家が寄せ集まっている。
    里山と山麓の農家。木々の紅葉も終わり、山茶花が咲き大根
    がほされて、お年寄りが自家用の畑で仕事している。
    冬を迎える準備だ。どこかで落ち葉か何か燃やしている
    煙がただよう。
    五倫石コースの入り口には別荘らしき家があり
    ここだけ紅葉の盛りだった。

      山里はうらさびしくぞなりにける木々の梢の散りゆく見れば
                                       良寛

32. 11月29日 曇り,最高気温11度,湯の腰コース

    日ざしもよわく残った葉もすくなくなり、向こうに
    宮前コースや稲島コースの稜線が見渡せる。
    寒いので頂上の小屋で休む。ありがたいことに
    ストーブがついていた。

    よはよはと日のゆきとどく枯野哉  麦水

33. 12月6日 曇り,最高気温12度,宮前コース


     COP15 Copenhagen で地球温暖化対策会議が開かれている。
     サウジアラビアのメッカの近くで1年分の雨が1日で降り大洪水
     だとか。モスクワではいまどき8度の異常な暖かさだとか。一方
     宮前コースの途中では上の写真の通り、ツツジが狂い咲き。
     大学のキャンパス内ではレンギョウが咲いている。本当におか
     しい。

34. 12月13日 曇り,最高気温10度,灯台コース・桜尾根コース

    夏の緑豊かな時と比べるととても淋しい
    雪もそのうち降るだろう。  
      Wie eine trube Wolke
      Durch heitre Lufte geht,
      Wenn in der Tanne Wipfel
      Ein mattes Luftchen weht ・・・
   三望小屋の煙突から煙りが昇っていた。
   この時期小屋はありがたい。:


35. 12月20日 吹雪,最高気温2度,稲島コース


   この3日間降り続いた雪は12月としては24年ぶりの大雪
   だそうだ。今日は休もうかと思ったが、つい
   出かけてしまう。登山口までは危険と困難を極めた。
   国道は車が多く危険、小さい道は雪がおおく手押しになる。
   帰宅してからよくぞけがもなく帰れたと安堵した。
   その一方、山の中の、この美しさはどうだろう。
   神々しい美しさ。
   そう、神々しいという言葉がぴったり。 
   あと、何となく数学の美を連想させる。
   自然界の厳しさが生み出す美しさでもある。
   ときどき、足音で木がやっと支えていた雪がどどーと
   頭上に落ちてくる。またときどき、びりびりと雪の重みに
   耐えかね大木が倒れる。自然界の厳しさ。

     降り積みし  高嶺のみ雪  それながら 
    天つみ空は  霞みそめけり    良寛さん



36. 12月27日 曇り,最高気温2度,稲島コース


   今年最後の角田になった。今日は沢山の登山者があった。
   先週の雪でご覧の通り木も竹も沢山折れてしまった、かわい
   そう、もったいない。
   観音堂まえ広場に幸福の鐘ができた。
   来年はすべてのいきとしいけるものにとって
   よき年となることを祈ります:
   観音堂前広場にポールにも
    May peace prevail in the world
   とある。