学  部  講  義


  数学を学ぶうえで心がけること


1.講義中は漫然とノートをとるのでなく,教員の話をよく聴き,できるだけその場で理解し
つつノートをとるようにつとめること。もしわからないときは,すぐ質問するとよい。これは他
の学生も助かることである。自分に理解出来ないところは他の人にとってもだいたいそう
である。しかしこういう事は日本人には全く苦手である。これは日本の文化かもしれない
,そこで少し妥協することにして,わからなかったところは記憶しておいて,講義後に解決
することにしよう。


2.講義終了後,講義の内容を自分が理解しているか,していないかはっきりさせること。
いわゆる復習である。これがなければ先へは進めない。なんだかモヤモヤしているときは
大抵理解していない。わかったときは,暗闇に電灯が点ったように,パットはっきりするも
のである。モヤモヤすら感じられないと重症である・・・。病気の自覚症状のない人は治し
ようがない,というか治すということすら浮かばない。モヤモヤ感に気づこう!


3.もし理解できなかったところが残ったときは,そのまま放置しない。そういうことが重な
るとついには何もわからなくなってしまい講義が忍耐の場になる。まず自分で解決す
るように努力する。教科書や参考書を用いてもよい。それでもできなかったら友人,先輩
あるいは教員に質問する。


4.1回の講義があったら必ず次の講義までに関係する問題を複数解いてみること。


5.定義や定理をまる暗記しようとしないこと。どういうことを言っているか意味を把握する
ようにつとめる。その意味が理解できないときは,
 (1) 定理や定義の条件にあう例を作ってみる。
 (2) 例題や演習問題を解く。
 (3) 定理の証明を繰り返し検討する。
など試みる。意味を理解していれば定義や定理を述べることは易しい。逆に丸暗記した人
の話は数学的裏付けがないので必ずおかしな説明になる。


6.誤解をしていないか,正確に把握しているかを練習問題を解いて確かめる。誤解をして
いるときは,だいたい不自然な感じがあるものである,この感覚を大切にし,注意しよう。


7.友人と比較して速くわかる必要はない。じっくりと自分に納得できるまで考えよう。


8.最後に大切な注意 : 数学の学習は積み上げ式である,ちょうど階段を登るように,
一歩一歩の積み重ねが基本である。例えば写像をキチンと理解していなければ準同型写
像は理解できない。同値関係を理解していなければ,剰余群は理解できない。また各分野
密接なつながりを持っている。群や環の概念は幾何学や解析学でもしばしば使われる。



  なおここにも詳しい数学の学習法が書かれています,ご覧下さい。



  代数関係での共通したヤマ
 まず写像の全射,単射。これが明確にわかっていないとこれから先へは進めない。
 同値関係の意味,とそれによる商集合。
 線形空間,一次独立,部分空間の意味。
 線形写像とはどういうものか。生成された部分空間とはどういうものか?
 演算とは,群とは? 正規部分群,剰余群
 環の意味,単元,零因子,イデアル,素イデアル
 体の意味,添加,正規拡大,
 ・・・などなど。
  線形空間の部分空間の概念がわかれば,部分群,部分環,部分体
 などの概念はすぐわかる。生成についても同様である。根本的に新しい概念はそれほど
 多くはない!




1. 情報基礎数学 I

  情報数学の進展に伴い,離散的な対象を扱う数学は近年大きく発展しつつある。この講義ではそのう
  ち公開鍵暗号の理論についてその数学的な基礎を解説する。初等の整数論を学んだ後に,その応用
  としてRSA暗号の仕組みを解説する。
  
  教科書:「初等整数論入門(公開鍵暗号をめざして)」,楫 元 著,培風館
  
   演習問題  2004  2006    2012
   
   試験問題  2004小テスト  2004    2005小テスト    2005   2006小テスト 2006 
                                                                                                  (dvi file)         (dvi file)
                      2007      2008小テスト  2008 2009小テスト 2010    2011小テスト

           2011
    
   レポート問題  2012
  


2. 代数入門


    代数入門では主に群について学ぶ。
  群は代数系の中でももっとも構造が簡単なものである。しかし、それ故その考え方は数学のあらゆる分野
  に現れるだけでなく、物理学、化学や他の分野にも現れて、重要な役割を果たす。具体例を出来るだけ沢
  山あげて詳しく説明する。

  教科書:代数学1「群論入門」、雪江明彦著、日本評論社
  参考の読み物:「群の発見」、原田耕一郎、岩波書店

  演習問題 2010 

  試験問題 2010 2011小テスト 2011



3. 代数系 I

    集合に和と積が定義されていて,足し算,引き算と掛け算の三則がその中で自由にできる集合を
  環という。一番なじみのある例は整数全体の集合であるが,その他にも多項式や関数の集合など沢
  山ある。この講義では特に積が交換可能な環について,イデアル,剰余環,準同型写像や商環など
  の概念を学ぶ。これらは代数系の分野ばかりでなく,幾何系や解析系などの分野でも大切である。            
   2012年度教科書:代数学2「環と体とガロア理論」,雪江明彦著,日本評論社                

      演習問題  2004  

   試験問題 2003   2004小テスト  2004  2005小テスト  2005  2006   2007
                    
                    2008小テスト  2008  2009小テスト 2010 2011小テスト 2011



4. 代数系 II

  数に関して四則演算は小学校以来なじみのあるものである。数ばかりではなく(例えば関数の集合な
  ども)、四則演算の定義される集合を体(たい)という。まず環の簡単な復習をしてから,体の公理をあ
  げ、体上の多項式環や体の拡大などの基本的な性質を学ぶ。数学の美しい理論の代表とも
  言われる、ガロワ理論まで進みたい。その応用として歴史上有名な作図の問題や方程式の可解性
  などにも言及できたらうれしい。                    

   2012年度は教科書として代数学2「環と体とガロア理論」,雪江明彦著,日本評論社    
   3,000 円を用いる。例題,演習問題を補充するためプリントを配布しますが、
   他の本も合わせて読むことを勧めます。参考文献はここにあげておきます。
      
   演習問題 2004  2005  2008
   
   試験問題 2003  2004小テスト1  2004小テスト2   2004  2005  2006 

          2007  2009  2011テスト